家づくり

 土地探し

 設計者探し

 設計の流れ

 設計料について

 その他必要な費用

 耐震基準について

 耐震診断について

 省エネについて-1

 省エネについて-2

 耐震基準について

 現行建築基準法では、地震力の強さを2段階で考えています。まず、建物が建っているあいだ数回は遭遇するであろう中地震=震度5弱(加速度80〜100gal)に対しては、軽微な損傷だけで建物の機能を保持すること(層間変形角1/200以下)。
 極めて稀に発生する大地震=震度6弱(300〜400gal)に対しては、中地震の2倍程度の変形を許容するが、建物の構造部材の一部にひび割れ等の損傷が生じても、粘りにより最終的に崩壊しないことを求めています。これは1981年(昭和56年)に改正された新耐震基準といわれ、それ以前は後者の検討が不要でした(崩壊に至るまでの検証方法が確立されていなかった)。

 この新耐震基準は、構造の種別の違いにかかわらず、共通の基本的な考え方です。
中地震に対して
(震度5弱程度)
構造体を軽微な損傷に留める。建物の仕上、設備に損傷を与えない。
大地震に対して
(震度6弱程度)
構造体の部分的な損傷、および仕上、設備の損傷を許容するが、倒壊・崩壊を防ぎ、人命を守る。
 ※原子力発電所は、これとは別の厳しい基準が適用される

 上記耐震基準を確かめる構造計算の方法は、建物の構造、規模によって下記のように分かれます。

  ルート1 ルート2 ルート3  
小規模な建築物 小規模な建築物 大規模な建築物2 大規模な建築物1 超高層建築物
木造:2階建以下
RC、S造:平屋、200u以下
木造:3階建以上
RC造:高さ≦20m
木造:高さ≦13m
RC造:20m<高さ≦31m
31m<高さ≦60m 60m<高さ
構造計算適用外
壁量、バランスチェック
(1次設計)
許容応力度計算
(1次設計)
許容応力度計算
(1次設計)
許容応力度計算
時刻歴応答解析
(大臣認定)
   
(2次設計)
剛性率、偏心率チェック
(2次設計)
保有水平耐力計算
 
   
エンド
※超高層建築物以外は、限界耐力計算等の新しい検証法も認められている


 1次設計では中地震(震度5弱)による地震力を設定し、主要構造部の許容できる力(応力)が、構造部に加わる力よりも高いこと、すなわち損傷しないことを確認します(ルート1)。この手法を許容応力度計算といい、力を受けて変形しても力を除けば元に戻る範囲、弾性設計の考え方です。

 2次設計では大地震(震度6弱)による地震力を設定し、建物が部分的に損傷したとしても、崩壊することがないことを確認します。2次設計は、力を受けて弾性範囲を超えて変形しながら粘り強さで地震に耐えることを考慮した塑性設計の考え方です。
(詳しくは、日本建築センター編 「新耐震基準に基づく構造計算指針・同解説」へ)

 小中規模の建物では2次設計まで要求されていません。許容応力度計算による耐震設計法が半世紀以上の歴史を持ち、中地震に対して構造体のどこにも損傷がなければ大地震に対しても崩壊まで至ることは殆どないという経験知を持っていることによります。これは、新耐震以前、中地震に対する許容応力度計算まででよしとしていた理由でもある、といわれています。

 2階建てまでの木造については、構造計算までは要求されず、仕様規定による簡便なチェック方法が認められています。構造計算すれば必ずOKになるという仕様を守って設計するわけです。
 また、木造に関しては、2000年(平成12年)に法改正があり、耐力壁のバランス配置の基準、主要構造部材の接合部の補強方法が規定されました。阪神淡路大震災で、柱の引き抜きによる倒壊が多くみられたからです。木造の場合、1981年と合せて、2000年が耐震基準の見直しの大きな節目となります。


▲ このページの先頭へ