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 耐震診断について

耐震診断とは
 建築基準法を守って設計されていて、法律の改正がなければ、耐震診断の必要はありません。建築基準法の改正があるため、改正前の耐震基準(旧耐震基準)で設計された建物を、現行の基準(新耐震基準)によりその耐震性を再評価する必要がでてきます。耐震診断とはこの再評価のことです。

 耐震基準のページで、「許容応力度計算による耐震設計法が半世紀以上の歴史を持ち、中地震に対して構造体のどこにも損傷がなければ大地震に対しても崩壊まで至ることは殆どないという経験知を持っている」と書きましたが、阪神淡路大震災では、新耐震基準(1981年)以前に建てられた建物の多くに、倒壊に至らないまでも大きな被害がありました。そこで耐震診断の必要性が指摘され、1995年に「耐震改修促進法」が施行されました。
(2006年改正、詳しくは 国土交通省HPへ



 耐震診断は、まず予備調査により、建築物の概要、増改築の履歴、設計図書の有無、経年劣化等を確認し、どのレベルの耐震診断を採用するのかを判断します。 診断計算により耐震性の評価を行い、補強の必要があれば補強案を検討します。

  耐震診断の方法

 具体的な診断の方法は、構造種別(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造)によって異なりますが、基本的な考え方は共通で、次のように表せます。

    耐震性能=強度×靭性

 すなわち、強度を示す指標と靭性(粘り)を示す指標の積で表すことを原則としています。



 建物には、強度型(一定の力に達するまではビクともしないが、それを超えると一気に破壊する)と、靭性型(わずかな力で大きく変形するが、元に戻らなくなる状態を超えてからも変形しながら粘る)の二つのタイプがありますが、その両方を共通の尺度で評価するために定められたものです。


 鉄筋コンクリート造(RC造)の診断方法

 RC造の診断基準は、建物の特徴及び計算精度に応じ、1次、2次、3次の診断法があります。いずれの診断法においても、建物の耐震性能を建物の主要方向二方向について各階ごとに、Is値(耐震指標)で判定されます。

  Is=Eo×SD×T
    Eo:強度の指標と靭性の指標を掛け合わせたもの
    SD:建物形状の違いによる指標
    T:経年劣化の程度による指標

  Is≧ Iso
    Iso:建物に必要とされる耐震指標(地域や地盤、建物用途によって決まる)

 一般的に、「Is値が0.6以上なら大丈夫、0.3未満なら崩壊する危険性が高い」 と言われていますが、Iso=0.6 は常に適用される絶対的基準ではありません。

 1次診断法 ・柱と壁の断面積とその階が支えている建物重量から計算する簡便な方法
・壁の多い強度型の建物には適している
・計算の難易度:易しい
 2次診断法 ・柱、壁の断面積に加え鉄筋も考慮する(部材の靭性も考慮)
・梁よりも、柱・壁の破壊が先行する柱崩壊型の建物の評価に適している
・計算の難易度:難しい(1次診断より計算の精度は高い)
 3次診断法 ・柱、壁に加えて梁も考慮し、建物の保有水平耐力を求める
・梁の破壊が、柱・壁より先行する梁崩壊型の建物の評価に適している
・計算の難易度:最も難しい(計算量が最も多い)

 旧耐震基準のRC造建物の耐震診断をする場合、構造特性は柱崩壊型と想定されるため、2次診断法の採用が適切と考えられます。

(詳しくは、日本建築防災協会発行 「既存RC造建築物の耐震診断基準」へ)


 木造の診断方法

 木造の耐震診断は一般的に、日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づいて行われます。診断方法には、大きく「一般診断法」と「精密診断法」の2つがあります。更に精密診断法には、保有耐力診断法、保有水平耐力計算による方法、限界耐力計算による方法、時刻歴応答解析による方法の4つが用意されています。
 「誰でもできる わが家の耐震診断」もありますが、これは一般の方向けの簡便な方法で、どちらかというと啓発用に作られたもので、具体的な診断には使えません。

 誰でもできる わが家の耐震診断 ・一般の方向け、啓発用
 一般診断法 ・耐震補強の必要性の判定を目標とした診断法
・診断者は建築に関して充分な知識と経験が必要
精密診断法 保有耐力診断法 ・補強設計を行う為の診断法
・一般診断法よりも詳細な調査を行い、より精密に耐震性を評価
・補強後の耐震性能の評価も行う
保有水平耐力計算による方法
限界耐力計算による方法
時刻歴応答解析による方法

 診断の対象は、在来軸組構法、伝統的構法、枠組壁工法となっています。
 一般診断法、精密診断法とも、地盤・基礎の検討と、上部構造の耐力の診断から総合評価を行います。上部構造の評点は、保有耐力(Pd)/必要耐力(Qr)で算定され、大地震での倒壊の可能性として下記の基準により判定されます。
   Pd/Qr ≧1.5    倒壊しない
        1.0〜1.5 一応倒壊しない
        0.7〜1.0 倒壊する可能性がある
       <0.7    倒壊する可能性が高い

 軸組工法について、対象となる建物を設計年次で分けると、1981年(昭和56)の建築基準法改正(新耐震)と2000年(平成12)の建築基準法改正が大きな節目になります。

1981年以前 1981〜2000年 2000年以降
・現行基準より必要壁量が少ない
・接合部の金物補強が殆どない
・柱頭・柱脚の補強金物の規定なし
・壁のバランス配置についての規定なし

・柱頭・柱脚の補強金物が規定される
・壁のバランス良い配置について規定される


 1981年の法改正において耐力壁の必要量が見直される以前の建物は、大地震時においては耐力が不足して崩壊の危険性が高いといえます。耐震診断を行う必要があると思われます。
 1981年〜2000年の建物は、壁量的には現行の基準と同じですが、柱や筋かいの接合部に関する規定や、耐力壁のバランスよい配置についての規定がなかったため、耐震性能が不足する可能性があります。耐震診断を行うことが推奨されます。
 2000年以降の建物は概ね安全であると考えられます。もちろん法規を守って建てられていることが前提です。

(詳しくは、日本建築防災協会発行 「木造住宅の耐震診断と補強方法」2004年改訂版へ)

  補助金制度

 耐震診断とは「旧耐震基準で設計された建物を、現行の基準によりその耐震性を再評価すること」と書きました。現行の基準が施行されてから以降の建物は、当然必要な耐震性能をもっているというのが大前提です。なので、耐震診断や耐震補強に対する補助金制度の適用は、旧耐震基準で設計された建物が条件になります。
 具体的な補助金制度については、殆どが年度ごとの事業予算で組まれますので、そのつど最新情報を調べる必要があります。今のところ(2011年)、国の方針もあり、都道府県、市町村の単位でどこでも実施されているようです。

参考まで、さいたま市の場合、
 埼玉県のホームページより
  「埼玉県内の住宅・建築物の耐震診断・耐震改修に関する補助金制度等のご案内
 さいたま市のホームページより
  「耐震補強等助成事業

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